「相棒」第17話
そして、「和泉聖治監督」節も大炸裂のお話で見応えありましたね~(笑)。音楽への並々ならぬ拘りと、ふんだんに盛り込まれた海外作品のテイストと…正味45分間の物語である筈なのに…其れを感じさせぬというのは、詰め込まれた情報量と巧みな構成、そして俳優陣の確かな演技力に、果して拠るものなのでしょうか。拠るものなのでしょうね。
冒頭、雨除け代わりの木の枝を片手に雨の中を行く亀山くん&右京さん…(このシーン好き)そこに流れていた曲、正式名は分りませんが…一時期、日本で(もしかして、アルゼンチン・タンゴか何かのブームの際???)、連日のように耳にしましたっけね…何となく懐かしさを感じてしまいました(笑)でも何故でしょう、「相棒」の中で、こういった形で聴くと何だか新鮮でも有り。これから起こるで有ろう「事件」への期待が自然に高まる、何ともお洒落な選曲と感じてしまうから不思議です。
「宮殿」に招き入れられてから以降の、右京さんの「英国紳士」っぷりには胸ときめきっ放しで(笑)然程の「シャーロキアン」では無い自分自身を、ちょっと悔いてもみたり…英国や欧州のミステリにもっと精通していれば、恐らくは作中に盛り込まれたパロディ等々に気付くことが出来、さらに多角的にお話を楽しめたのかもなぁ…と思ってしまいます。でも、ポワロやホームズ等「海外ドラマ」の雰囲気「のみ」を知っていて、其のテイストを「何となくだけど肌で感じ取れる」だけでも充分に楽しむことが出来ました(笑)。
パーティー会場で亀山くんとキャビアを食す場面では、久々に右京さん特有の「意地悪な褒め方」が出ましたね(笑)
右京:「君の舌は、時として君自身より有能ですねぇ」
亀山:「ほっほ(と軽く笑ったあと)…褒めてないですね、それ」
右京:「確かに」
いつもながら、こーゆー会話の時の寺脇さんの「間」は絶妙ですね(笑)。ところで右京さんの「確かに」とは、「確かに、褒めてないですね」という意味の「確かに」なのか、「確かに、このキャビアは味が落ちますね」という意味の「確かに」なのか…ちょこっとだけ気になりました(気になる点が細かすぎて御免!!(汗))。
大広間に全員を集め、「第一の謎解き」を披露する右京さんの格好良さにもくらくら来ました(笑)。長台詞を一切の淀み無く、しかも表情や仕種の「芝居」も完璧にこなしながら云えてしまう水谷さんの演技は本当に圧巻。
其の右京さんの「謎解き」シーン、余りに流麗で格好良かったので台詞ぜんぶ書き出してみることにしました(笑)。(相変わらず酔狂ですみません。)
「…お楽しみのところ誠に無粋なのは重々承知していますが何分職業柄、犯罪を見逃すわけにはいかないものですから。少々訳が有りまして、こちらのお屋敷の中をあちこち歩き回り色んな会話を耳にしました。その結果、このパーティーには様々なお客様が見えていることが分りました。例えば―――――(ここで音楽&客達の会話シーン)
僕はてっきり、テレビ局のプロデューサー、なくなった一条氏に世話になったホテルの支配人、モナミさんの遠縁のカトウ先生、この3人が別々に存在するものだと思っていました。ところがパーティーの参加者は招かれざる僕達ふたりを除けば、全部で19人。
モナミさんの3人のお嬢さん、長女真美さんのご主人と、息子さんのタケルくん、モナミさんの会社の佐野さん、大沢さんと、伊藤さん、三女愛美さんが連れて来られたカメラマンの栗村さん、それから名前は存じ上げませんが、そちらの―――モデル事務所の社長さん、モデルのお嬢さん4名に、和田さん、ですね?―――そして画商の服部さんと、奥様、さらに東京第一銀行にお勤めの高浪さんを加えて、占めて18人。残りは、一人―――――
―――――つまり貴方が、テレビ局のプロデューサーでありなくなった一条氏に世話になったホテルの支配人であり尚且つ奥様の遠縁で教師だったカトウさん!…ということになりますねぇ、―――ヤマモトさん」(と犯人を指差しながら一気に云い放つ、このシーンの右京さんが最高に格好良くて大好き~(笑))
…と、右京さんに正体を見破られたあと、
ヤマモト(?):「…さて、私には何のことやら、さっぱり!」
モナミ:「……あなた一体、誰?」
この、大空さんが云い放つ一言も好きです(笑)。
そこから後も暫く、一切のカット無しでお芝居が続いていく訳ですが…場を静かに立ち去ろうとする犯人をじりじりと(全員で)追い詰めていく動きが「舞台的」で、臨場感もあって実に面白かったです。
「長回し」で有名な和泉監督ですが…果してこの場面も、一切のカット無しで撮られたのでしょうか?(編集で、所々別シーンは差し込まれてはいますが、)その可能性は高いかもしれず…。既に伝説のように語られている「8分間の長回しシーン」が、相棒シリーズには有りますからねぇ(笑)。今回も、カット無しの撮影だったとして…大広間のシーンが始まって、(パーティーに潜り込んでいた)犯人が追い詰められるまでトータル約4分。そのうち、右京さんの台詞の箇所が3分~3分半。8分の長回しに比べればまだまだ序の口かもしれませんが、それでも充分長いと思います(汗)。
「相棒」は登場する子役も可愛いですね。今回のタケルくんと、「バベルの塔」のはるかちゃんは云わずもがな、「狼の行方」の腕白二人組も実に可愛かったです。
大空真弓さん、流石の貫禄でございます。正直、日本の俳優(女優)さんでは(海外作品のような)洒落た作りのドラマは出来ないもの、と思い込んでいたのですが…ごめんなさい!今日から認識変えます!(汗)配役や舞台や脚本がきちんと揃えば、日本でもこれだけの物が出来るのですね!他局の「古畑某」の作りに、或いは似ているかもしれませんが…古畑の方がコミカル色も強くてややライト、かもしれず。「相棒」の方は、余韻を残すことで物語をより印象深いものにしてくれているよな気がしてしまうのですが…如何でしょう?。
…兎にも角にも、子供に対しても、また罪を犯した者に対しても敬意を忘れない右京さんの「英国紳士」っぷりにとことん酔い痴れた回でございました(笑)。
…あ、あともう一つ。
「アルジャーノン」が庭に逃げた可能性を指摘したあとの右京さんの、「お手上げです」というポーズも正に「英国紳士」で大好き!(笑)。
今週の「相棒」ヒット賞:
現場に置いてけぼりにされた亀山くんから、伊丹んの携帯に電話が掛かってきた場面。
三浦:「…おい、(電話に)出ないのか?」
芹沢:「(伊丹んの表情を見ながら)…たぶん邪悪なこと考えてます」
…と、伊丹んの思考を見事に読み取った芹沢くんに。
芹沢くんには、何か邪悪でないものを贈って差し上げたいです(笑)。
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Comments
8分間の長回しってどの回でしょうか?
僕も犯人を追い詰めるときの右京さん大好きです よくあんな長いセリフを早口で言えるなぁって感心します
Posted by: | February 17, 2007 12:24 AM
おー感想楽しみにしてました!
相変わらず素敵なイラストと一緒で嬉しいっすo(≧▽≦)o
ヒット賞の「邪悪顔に描き過ぎて」に笑っちゃいました~
邪悪顔、イケてますね(笑)
由意さんには何か邪悪なものを送ってさしあげたいです(笑)
8分長回し、もはや都市伝説ですね(違
土曜ワイド2でしたっけ?
役者さんにとっては大変なんでしょうけど
でもやってしまう所が流石というか何というか・・・感服です。
あ、タンゴの曲はリベルタンゴっていうらしいですよ。
詳しくはどなたかに聞いてください(笑)
Posted by: 日向。 | February 17, 2007 10:32 PM
>?さま
(スミマセンお名前無かったので~(汗))
コメント有難うございます♪
8分間の長回しは、日向。さまも書いておられますが「土曜ワイド劇場版」の2作目にございます~あの、生瀬さん演じる「浅倉禄郎」初登場のお話です♪
右京さんが犯人を追い詰めるシーン、凄いですよね~!早口で迫力も有って、私も毎回息を呑んで見入ってしまいます!
>日向。さん
コメント有難うございます~♪
>邪悪顔、イケてますね(笑)
あ、ありがとうございます!邪悪なもの…いったい何が届くのでしょう!?わくわく(笑)私もあのシーンでもの凄いウケたので、「こっ…これは伊丹んの熱演?に応える為にも、描かせて頂かなければ!」と変な使命感に燃えてしまいまして(使命感って…(笑)ちょっと気合入り過ぎちゃいました~(汗)
Posted by: 由意 | February 17, 2007 11:58 PM
大空真弓さんは存在感がありましたね。
さすがでした。
アガサ・クリスティ的な閉ざされた状況設定の推理探偵ドラマは苦手なほうなんですけど、面白く観れましたね。(^^)
Posted by: PANA | February 21, 2007 05:52 AM
>PANAさん
コメントありがとうございます♪
本当に、大空さんは流石の貫禄でした!
私も本家・クリスティのドラマは(案外苦手なのか^^;)余り観ないのですが、今回の相棒はとても面白い!と感じました(笑)
Posted by: 由意 | February 21, 2007 11:07 PM